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Astro のディレクトリテーマ比較(2026年版)

· 更新 · 読了まで約9分

目次

「Astro のディレクトリテーマ」と一口に言っても、1時間でデプロイできる Markdown スターターから、管理画面付きでデータベースに繋がる製品まで幅があります。この振れ幅のどちら寄りを選ぶかを間違えるのが、いちばんよくあって、いちばん高くつく失敗です。しかもどちらが必要だったかは、たいていサイトを公開したずっと後になって分かります。

ディレクトリサイト、つまりツールやアプリ、代理店、飲食店を集めたキュレーションリストは、Astro がとりわけ向いている用途です。コンテンツ量が多く、SEO が効き、ほとんどが静的だから。ただ、それを作るテーマのほうは互いに置き換えが利きません。

先に開示しておくと、このリストで唯一の有料テーマ Almanac は私が作ったものです。無料のほうが素直に良い場面ははっきり書きます。実際、多くのプロジェクトではそちらが正解です。

決めるべきはひとつ、リスティングをどこに置くか

テーマを比べる前に、リスティングをどうやってサイトに入れるかを決めます。価格も見た目も機能も、この判断の後に来る話です。

データ層編集の流れ向いている用途
Markdown ファイル1件ごとに Git コミット個人でのキュレーション、200件くらいまで
JSON データセット1ファイルを直して再デプロイ件数が固定の小さなリスト、デザイン重視
データベース(D1・Turso・Postgres など)管理画面から編集、再デプロイ不要投稿受付、収益化、200件以上

Markdown と JSON は快適です。ユーザー投稿を受ける日が来るまでは。あるいは技術者でない人に編集を任せたくなるまでは。そうなると、静的テーマに CMS を継ぎ足すか、データベース型に乗り換えるかの二択になります。投稿受付をロードマップに入れているなら、いま織り込んでおいたほうがいいです。

前提が決まったところで、2026年に見ておく価値のあるテーマを挙げます。

無料の Markdown 系なら Minted Directory

無料 ・ GitHubデモ

Minted Directory は Mark Bruderer が公開しているもので、無料の出発点としていちばん強い選択肢です。リスティングは frontmatter 付きの Markdown ファイルなので、ディレクトリ全体がリポジトリに収まり、静的ファイルを置ける場所ならどこにでもデプロイできます。SEO とプログラマティック SEO(pSEO)のパターン、ダーク/ライトモード、タグでの絞り込み、スポンサー枠・注目枠のリスティング対応まで最初から入っています。ディレクトリが実際どう稼ぐかを踏まえた作りです。

向いているのは: 編集するのが自分ひとりで、リスティングが数十〜百数十件、Git を苦にしない場合。

限界: 内容を変えるたびにコミットと再デプロイが要ります。管理画面はありません。ユーザー投稿を受け付けるなら、フォームと審査の流れは自分で組むことになります。選ぶ前に知っておきたい点がもうひとつ。リポジトリへの最後のプッシュは2025年4月で、デモもまだ Astro 5 で動いています。壊れてはいませんが、上げるのは自分の仕事になります。

JSON 1枚で完結する Directory(New Design File)

無料 ・ GitHubデモ

Directory はもっと割り切っています。データセットは丸ごと JSON で、テーマがそれをダーク/ライト対応のきれいな一覧サイトに描き出します。デモの riseofmachine.com(AI ツールのディレクトリ)を見れば、手に入るものがそのまま分かります。仕掛けが少ないこと自体がこのテーマの狙いになっています。

向いているのは: デザイン先行で、1件1件を自分の手で選び抜くリストを作りたい場合。コンテンツのパイプラインを管理するより、JSON を1つ直すほうが性に合うなら、これです。

限界: 静的ワークフローの天井は Markdown と同じで、しかも1件ごとのリッチな本文が持てません。データが増えるほど、詳細ページや長い説明文の置き場所に困ります。

データベース型が要るなら Almanac(自作)

$69 ・ ライブデモGumroad で購入

Almanac は、無料の2つがぶつかる天井に対する私なりの答えです。Astro + Cloudflare Workers + D1 向けのディレクトリテーマで、リスティングはリポジトリではなく本物の SQLite データベースに入ります。サーバーレスなので、小さいうちは実質無料で動きます。閲覧まわりのページは静的で速く、検索・投稿・管理だけを Worker が受け持ちます。

実際に何ができるかというと、次のようなことです。

  • 管理画面。ブラウザから追加・編集・承認・注目指定ができます。再デプロイも Git も要らないので、技術者でない共同編集者にそのまま渡せます
  • ユーザー投稿と審査キュー。ディレクトリが自分で育っていきます
  • 収益化の部品。注目枠やカテゴリ内の掲載位置が最初から機能として入っていて、CSS で無理やり作る話になりません
  • スタックがひとつ。サイトもデータベースも検索も Cloudflare に載ります。デモは8カテゴリ60件を無料枠だけで動かしています

向いているのは: ディレクトリを製品として運営するつもりがある場合。投稿を受け付けたい、注目枠を売りたい、ファイルで管理しきれない件数を扱いたい、といった要求です。

限界: 有料で、しかも Cloudflare 前提です(データ層が D1 のため)。Cloudflare に載せられない、載せたくないという事情があるなら、上の無料テーマのほうが合います。5ページで済む手作りのリストにデータベースは要りません。買わないでください。

一覧で比べる

Minted DirectoryDirectory (New Design File)Almanac
価格無料無料$69
リスティングの保存先MarkdownJSOND1 (SQLite)
管理画面なしなし
ユーザー投稿自分で実装自分で実装✓ 標準搭載
注目枠・スポンサー枠✓ 基本のみなし✓ 標準搭載
再デプロイなしの更新なしなし
ホスティング静的ならどこでも静的ならどこでもCloudflare
得意なこと無料の Markdown SEO最小構成のキュレーション製品としてのディレクトリ

あるいは自分で作る

Astro の content collections を使えば、Markdown ベースのディレクトリを一から作るのは週末プロジェクトとして十分現実的です。これらのテーマがまとめている型を学ぶには、いちばん早い道でもあります。データベース型のほうは Almanac のブログに手順を全部書きました。Astro + Cloudflare Workers + D1 でディレクトリサイトを作る(英語)と、姉妹編のディレクトリサイトの運用費はいくらか(英語)です。

自作するなら、早めに仕込んでおきたいものが2つあります。ひとつは OG 画像。ディレクトリの成否はリスティングページが共有されたときの見た目で決まりますが、1件ごとの画像をビルド時に生成するのに要るのは、エンドポイントのファイル1つです。手順は Satori での作り方にまとめてあります。もうひとつは構造化データ。リスティングページは、検索エンジンがマークアップを求めている形そのものだからです。どの型がまだ生きているかはいま書く価値のある JSON-LDに整理しました。

データ層をどれに決めたとしても、最後はどこかに載せることになります。静的な Astro サイトを Cloudflare Workers にデプロイする手順は、ここに挙げた3つのテーマすべてが通れる道です。

結論

  • 手作りのリスト、編集者はひとり、Git で完結: Minted Directory から始めてください。無料で、しかも本当に出来がいいです
  • 小規模、デザイン重視、件数が固定: New Design File の Directory が最小構成を保ってくれます
  • 投稿・管理画面・収益化、つまり事業として回すディレクトリ: データベース型が要ります。それが Almanac で、冒頭に書いたとおり私の作ったものです

どれを選ぶにしても、出発点はこのページの冒頭に置いたデータ層の問いです。後から安く引き返せない唯一の選択でもあります。本当に迷うなら、Minted Directory から始めるのが手堅いと思います。手狭になったらそれは嬉しい悩みですし、Markdown からデータベースへ移すほうが、逆向きよりずっと簡単です。